最近SNSや動画サイトなどで『肩甲骨剥がし(はがし)』なる用語を目にすることが多くなりました。肩甲骨を剥がすとは、なんだか凄そうでインパクトありますね。はな治療室にもいわゆる肩甲骨剥がしに該当する技術はあります。
過去記事にもありますが肩甲骨は首(頸部)、腕、体幹(胸や肋骨、背中、腰)の多くの場所と筋肉で接続しているので、すなわち首(頸部)の治療、腕の治療、体幹の治療で欠かせない箇所となります。それぞれ目的の場所の治療、緩める過程のひとつとして肩甲骨の動きを改善する必要があるのです。肩甲骨だけを動かせば良いということはありません。
肩甲骨周りの代表的な症例に内縁のこり反応があります。この場所はパソコンやスマホで酷使された腕の疲労反応が顕著に現れます。肩甲骨周囲だけではなく腕の治療も同時に行うことが重要です。この場所には膏肓(こうこう)という経穴(ツボ)があります。故事『病膏肓に入る』の膏は心臓の下部、肓は横隔膜上部で、膏と肓の間の奥に病があると手の施しようがない状態、転じて物事に熱中し過ぎて手に負えなくなることを意味するそうです。経穴としての膏肓とは位置が異なりますが、パソコンやスマホに熱中し過ぎた結果症状が出てくる場所であるのは、やはり何かを示唆してそうですね。
ストレスや胃の反応の反応も肩甲骨周囲に出現します。この場合、肩甲骨をいくら剥がしても効果は今ひとつかもしれません。もちろん一時的に気持ちよくなりますし、こり反応を緩めることによる原因箇所緩和という効果は狙えます。しかし肩甲骨だけではなくストレスや胃へのアプローチ(頭部末端治療や按腹)を同時に行うことが重要です。