一般に五十肩(四十肩)とは肩関節周囲炎ともいわれ、中年期に頻発する肩関節の痛みと運動制限の総称です。夜間早朝の痛みなどを伴う方も多いです。
肩関節内に張り巡らされている筋肉群の一部に起きた炎症が原因となる事が多く、細かい分類では上腕二頭筋長頭炎や肩峰下滑液包炎や肩峰下滑液包炎,回旋筋腱板の損傷、石灰沈着による疼痛…とされています。
「放っておいても治る」という言葉もよく聞きますし、実際そうしていても半年から長くても二年もあれば治癒することが多いです。
しかし、仕事や家事での不便さや放置期間中に積もる筋力減退や他部位への悪影響とを考えると積極的に治療すべきです。何よりも肩の痛みというのは激烈で辛い症状ですから早く治したい。
肩の動きに関係する筋の一例腱断裂などがない場合の一般的な治療は、整形外科での消炎鎮痛薬の処方や肩周辺の温熱療法などが大半だと思います。それで回復するならば非常に良いことなのですが、なかなか改善しないケースがあります。またステロイド剤や局所麻酔剤の注射についても、難しい場合があるようです。
そこで鍼かマッサージや整体でもやってみるか・・・と至った方を治療することになります。
当治療室では五十肩の治療は肩周囲だけの局所マッサージ,局所運動訓練とは異なるアプローチを行います。
なぜならば肩は首であり腕であり胸であり背中であるからです。
肩という場所は腕をぶら下げ、腕の動きの中継所であり、構造も非常に複雑です。
肩関節は上腕骨と肩甲骨と鎖骨からなり、それらに付く筋肉は腕,胸,背(腰),そして首にも関わります。よって肩の動きが悪いということは、それらのどこかにも問題を抱えていると考えなくてはなりません。
そのような観点から体の連なり・ネットワークを辿って問題個所を治療します。腰から下の左右差などにも注目します。総合的に肩甲骨や鎖骨の動きやすい環境を整えて、本丸の肩の局所治療に入り易くしていきます。
腕を挙げられない状態が長く続いて筋力が弱ってしまい、さらに腕を挙げ難くなるという悪循環に陥っている場合にはキネシオテーピングなどでの筋力補強も併用します。